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太くて長い管ができるしくみ

2018年8月27日

わたしたちのからだは「管」でできている!

生き物の体の中には、たくさんの「管」があることを知っていますか?例えば、血液の通り道である血管やリンパ液の通り道であるリンパ管。赤ちゃんと育てる母乳を作る乳せん。それから吸いこんだ空気を肺に送る気管。食べ物を消化したり吸収したりする消化管は口からこう門までつながった長い管です。すなわち、生き物の体の大部分が管で作られているのです。

管はどうやってできるの?

たくさんの管には様々なかたちがあります。血管や乳せんは細くて枝分かれした管、気管や食道は太くて長い一本の管です。細い管の場合は、細胞が自分で動いたり、となりあった細胞同士が動きを調節したりしながら管を形作っていくことが、これまでの研究からわかってきました。でも、太くて長い管はどうやってできあがるのかわかっていませんでした。そこで、岸本博士たちはマウスのたい児の気管がどうやってできてくるのか、くわしく時間を追って観察しました。はじめに作られた小さな小さな気管は、まずは太さを変えずに管の長さをのばしていました。その後で、管を太くすることがわかりました。さらに、管の内側をおおっている細胞が並びかわりながら、なめらかな管の内側をつくっていることがわかりました。

太くて長い管を作るのに重要なのは、筋肉となん骨だった!

気管の管には内側をおおっている細胞だけでなく、そのまわりには筋肉やなん骨の細胞も存在します。それでは、どの細胞が太くて長い気管を作る手助けをしているのでしょうか。いろいろなマウスについて調べた結果、気管が短いマウスと、気管を太くすることができないマウスを発見しました。気管が短いマウスでは、筋肉の細胞が気管に向かって正しい方向に並んでいませんでした。気管を作る時には、まだ未熟なうちから筋肉の細胞が内側に向かって規則正しく整列し、気管がのびるのを助けていることがわかりました。岸本博士たちが初めて見つけたこの内側に向かって整列する性質に、「放射状極性」と名前をつけました。一方、気管のなん骨がないマウスは、気管の管を太くすることができませんでした。太くて長い気管を作るには、外側にある筋肉が規則正しく並ぶことやなん骨が成長することが重要だったのです。さらに、食べたものを胃に送るための食道も、気管と同じように筋肉に助けられて長くなっていました。

気管が形作られるときの様子。筋肉が整列しないマウスやなん骨を作れないマウスでは気管の形が正しく作られない。

長くて太い管の作り方がわかるとなにかいいことがあるのかな?

今まで行われてきた管ができる仕組みを解き明かす研究では、管の内側をおおっている細胞だけに注目していました。だから、その外側にある筋肉やなん骨が管をかたち作るための手助けをしているということは、初めての発見でした。そして、筋肉やなん骨のようなまわりの細胞による手助けは、気管や食道だけではなく、いろいろな臓器の形を作るときにも必要かもしれません。管の形は、臓器の機能と深く関わっています。形が変わると病気になってしまうこともあるのです。この研究は、いろいろな臓器ができる仕組みや、病気の原因を調べるきっかけになる可能性があります。

岸本圭史 博士

岸本博士

規則正しい筋肉やなん骨のパターンができるくわしい仕組みを明らかにすることが次の課題です。臓器を形作るときの細胞ひとつひとつのふるまいや、周りの細胞との協調を理解して、代わりの臓器を作ったり、病態を解明したりすることにつなげたいと思っています。

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