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「シュゴシン」と「SUMO化」で卵子を守る!

2018年6月12日

卵子はとても特別な細胞なんだ!

わたしたちの体は、とてもたくさんの細胞からできています。そして体を動かす筋肉の細胞があったり、体の表面をおおっている皮ふの細胞があったり、種類もたくさんあります。その中でも、卵子と精子はとても特別な細胞です。体の細胞は一生ずっと同じヒトの細胞としてはたらいて、その体のヒトが死んでしまうと体の細胞もいっしょに死んでしまいます。でも卵子と精子は次の世代の子供の体の細胞だけでなく卵子や精子にもなって、そのまた次の世代の子供の体の細胞や卵子や精子にもなります。卵子や精子は体の情報を次の世代に伝えていく、とても重要な細胞なのです。

卵子はどうやってできるの?

とても重要な役割を持っている特別な卵子は、その作られ方も他の細胞とはちがいます。細胞の中には体を作るための設計図(染色体)があり、お父さんからもらった設計図とお母さんからもらった設計図が1枚ずつ、合わせて2枚あります。体の細胞が増えるときにはこの設計図をコピーしてから、1枚ずつになるように設計図を分けます。これでもとの細胞と同じ細胞ができあがります。(左図)でも卵子は特別で、卵子のもとになる細胞には設計図が2枚ありますが、卵子には設計図が1枚しかありません。だから、卵子を作るときには、まず、コピーされた設計図どうしがくっついて、くっついたまま2つに分かれます。その後、くっついていたところをはがして、設計図が1枚ずつのものが4つできます。(右図)卵子を作るときには最初に設計図同士がくっつく、ということがとても重要なポイントなのです。

(左)体の細胞が増えるときと(右)卵子が作られるときのちがい

卵子を作るときの特別な仕組みってなに?

卵子を作るときに設計図どうしをくっつけておく時には、コピーされた2枚の設計図はクリップのようなものでしっかりとはなれないようにくっつけてあるのです。今回の研究チームのチームリーダーである北島博士たちは、2004年にこのクリップのようなタンパク質「シュゴシン」を発見しました。そして今回、ディン研究員たちはシュゴシンとタイミングをずらすようにして同じように設計図をしっかりとくっつけておくための仕組み「SUMO化」を、マウスを使った研究で発見しました。コピーされた2枚の設計図がクリップでくっついていないと、設計図を正確に1枚ずつに分けることができなくなってしまうのです。シュゴシンやSUMO化は卵子の設計図がきちんと1枚ずつになるように、卵子の設計図を守っているのです。

卵子を守る仕組みがこわれるとどうなるんだろう?

シュゴシンやSUMO化がないと、設計図の数が1枚ではない卵子ができてしまいます。正しくない数の設計図を持つ卵子が精子と受精すると、受精卵の設計図の数もおかしくなってしまいます。そして設計図の数がおかしいと、流産をしたり病気の原因になったりします。だから、正しい数の設計図を持つ卵子を作るように卵子の設計図を守っている仕組みは、とても重要な仕組みです。卵子が年をとると設計図の数が異常になる可能性が高くなりますが、そのこととシュゴシンやSUMO化が関係あるのかどうか、ディン研究員たちは次の研究を始めています。

イ・ディン 研究員

わたしは、卵子を作るときに働くシュゴシンやSUMO化にとても興味を持っています。これからはSUMO化がどうやって卵子の設計図を守っているのか、その仕組みのなぞを解きたいと思っています。

関連リンク

卵子の染色体を守る新たな仕組み(2018年5月11日プレスリリース)

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