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レチノイン酸が網膜(もうまく)の近くに血管を作る

2018年4月17日

レチノイン酸ってなに?

ビタミンって知っていますか?レモンはビタミンC が多いとか、ぶた肉にはビタミンB1 が多いとか言いますが、ビタミンは生き物が生きていく上で欠かせない栄養素の1つです。そして、今回の研究に出てくるレチノイン酸は、食べ物から取りこんだビタミンA が体の中で変身したものです。レチノイン酸はほ乳類のようなせきつい動物(背骨のある動物)にはとても大事な分子で、受精卵から複雑な体ができるときのガイド役として働いています。

網膜ってどこにあるの?

網膜は眼の内側の一番おくにあるうすいまくです。網膜には光を感じる細胞や、その細胞の働きを助ける細胞などがきれいに並んでいて、光を感じてものを⾒るときにとても大事な働きをしています。でも年を取ってくると、この網膜の外側をおおっているまく(脈絡膜)に余分な血管がたくさんできて、網膜の形をぐちゃぐちゃにこわしてしまうことがあります。それが「加齢⻩斑変性」という病気です。網膜の形がこわれてしまうので、眼が⾒えなくなってしまいますが、今のところ治す方法は⾒つかっていません。

血管はどうやってできるんだろう?

脈絡膜の血管がどうやってできるかがわかれば、網膜をこわしてしまう余計な血管を作らせないような薬や治りょうができるかもしれません。そこで網膜の研究をしている後藤博士たちは、脈絡膜の血管がどうやって作られるのかを調べました。すると、ビタミンA からレチノイン酸を作ることができないマウスは、脈絡膜の血管を上手に作れないことが分かりました。にんしんしている脈絡膜の血管を上手に作れないマウスにレチノイン酸をあたえると生まれた子マウスは正常な血管を作ることができました。逆に、にんしん中にビタミンA が不⾜した⺟マウスからは、血管が上手に作れていない子マウスが生まれました。これらのことから脈絡膜の血管が作られるときには、レチノイン酸が必要なことがわかりました。

病気のときもレチノイン酸が血管を作っているのかな?

今回の研究で、赤ちゃんの正常な脈絡膜の血管は、レチノイン酸のはたらきで作られていることがわかりました。しかし成⻑した後に、病気の原因となる余計な血管が同じ仕組みで作られているのかは、今回の研究ではまだわかりません。病気の複雑な原因を探るには、生き物がどうやって体を作っているのか、その仕組みを一つずつ明らかにしていくことが重要です。ヒトが年⽼いてからかかる病気を治すヒントが、赤ちゃんマウスの観察から⾒つかるかもしれません。生き物のライフサイクルを研究する意味がここにあります。

右:レチノイン酸を作れないマウスの網膜では、血管(赤)がうまく作られない。
後藤聡 博士

今後は、この脈絡膜をうまく作れないマウスが年⽼いた時に、網膜がどうなるのかを研究することで、いま治す方法がない重い目の病気の人を助ける研究をしたいと思います。

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