
ユニットリーダー
戎家 美紀
Ph.D.
[2019年3月 終了]
私達は、多細胞生物の発生のしくみを、作る(再構成する)ことで理解しようとしています。実際に作ってみることで、現在の理解がどれほど正しいか検証し、さらにはそこから予想外の発見をしたい、という動機です。発生過程における重要原理としては、自発的な細胞分化、時空間のパターン形成、組織の変形などが挙げられます。そこで私達はこれらの原理の再構成を順次試みており、これまでに自発的な細胞分化の再構成に成功しました。具体的には、Delta-Notch シグナルの側方抑制機構を模した人工遺伝子回路を哺乳類培養細胞上に作製したところ、元は同じ種類の細胞がひとりでに別の種類の細胞に分かれていく様子が観察できました(Matsuda et al, Nat Commun 2015)。現在は、反応拡散機構によるパターン形成、細胞間の同調振動現象、組織の三次元的な変形などの再構成に取り組んでいます。また、再構成した実験系ではパラメーターの測定や制御が容易という利点を活かして、発生原理の定量的な理解にも取り組んでいます。

赤と緑の入り混じったパターンを示す細胞コロニー(左:人工遺伝子回路を持つ細胞、右:シミュレーション)
研究テーマ
- 自発的な細胞分化の再構成
- 細胞パターンの再構成
- 同調振動の再構成
- 組織の変形の再構成