RIKEN BDRシンポジウム2023を神戸で開催しました
2023年6月19日
2023年3月7日から9日までRIKEN BDRシンポジウム2023 “Transitions in Biological Systems” をBDR神戸キャンパスで開催しました。新型コロナウイルスの感染拡大以来、初めてとなる対面形式で行われ、オーストラリア、香港、インド、インドネシア、カナダ、アメリカ、フランス、ドイツ、イスラエル、イギリスに日本を加えた11カ国から131名の研究者と学生が参加しました。オーガナイザーは Irene Miguel-Aliaga (Imperial College London, UK)と、BDRのチームリーダー平谷伊智朗、木村航、 Li-Kun Phng、清水義宏、砂川玄志郎、Yu-Chiun Wangの7人がつとめました。
生物は、胚発生から出生後の成熟、恒常性維持、疾患、老化に至るまで、そのライフサイクルの中で大きな「遷移現象」を繰り返します。あらかじめプログラムされたメカニズムによって内的に制御されている遷移か、あるいは環境や食事などの要因によって外的に駆動されているものかを問わず、多くは我々の目には明らかですが、それらの基盤となるメカニズムを特定し、明らかにすることは容易ではありません。しかし、近年の技術の進歩により、既知の遷移現象に関する新たな発見のみならず、新規の遷移現象の発見・特定が可能になりつつあります。
シンポジウムでは、ゲノム状態の遷移、組織や個体の細胞特性の遷移、力学的な相転移、代謝に基づくライフステージの遷移、行動の遷移や、それらを研究するための技術まで、幅広いテーマが取り上げられました。合計37題の講演が行われ、国際的に著名な28名の招待講演者に加え、抄録から選ばれた9名の研究者が登壇しました。また、54名がポスター発表を行い、他の参加者と最新の結果を共有し、議論しました。
シンポジウムのオーガナイザーの一人であるBDRの平谷チームリーダーは、「再び神戸でBDRシンポジウムを対面という形で開催できたことは素晴らしいことでした。すでによく知られている遷移現象や新規のものについて、さまざまな階層に着目して行われた基礎研究から最新の技術開発まで、多岐にわたる質の高い講演に参加者からは満足の声が寄せられました。」と述べました。
今年のシンポジウムは、RIKENシンポジウムシリーズの一環として、また、The Company of Biologists 社とDevelopment, Growth & Differentiation 誌の協賛によって開催されました。
RIKEN BDRシンポジウムは、BDRで行われている研究に関連したテーマで毎年開催されており、国内外の科学コミュニティに対して門戸が開かれています。来年のRIKEN BDRシンポジウムは、2024年3月4日から6日まで神戸で “Time across scales: development, homeostasis, and aging.” をテーマに神戸で開催される予定です。詳細については、秋頃にBDRのウェブサイトで発表する予定です。