ミッション

生命現象の階層と時間軸をつなぎ、健康寿命の延伸をめざす-「生きている」仕組みをひも解く-

ヒトをはじめ寿命を持つ生きものは、生まれる、育つ、産む、老いるというライフサイクルを経て、最終的に個体の終焉を迎えます。私たちの健康や老化を理解するためには、生まれてから死ぬまでの間にからだの中で何が起きているかを正確に知る必要があります。たとえば、「老いる」過程での健康維持は超高齢社会における重要な課題ですが、健康寿命を延ばすには、老いに伴うさまざまな疾患への対処のみならず、老化という現象そのものを理解し、発症する前の未病段階において予防・診断・医療介入をおこなうことが求められます。そのためには、個体の正常な機能がどのように保たれ、いつ、どのようにして健康状態のバランスが崩れてしまうのかを知ることが必要です。しかし現在の生命科学では、生体−特にヒト−のからだや、組織、細胞の中で起きている現象を長期にわたって、直接観察することは極めて困難とされています。したがって、生命の階層を越え、時間軸に沿った変化を捉えることで生命機能の維持・低下の要因を特定する、新たな方法論の開発が不可欠です。

理化学研究所は、生命システム研究センター、多細胞システム形成研究センター、ライフサイエンス技術基盤研究センターを統合した「生命機能科学研究センター」を2018年に設置しました。当センターでは、個体の誕生から死までのライフサイクルの進行を、分子・細胞・臓器の連関による調和のとれたシステムの成立とその維持、破綻にいたる動的な過程として捉え、個体の一生を支える生命機能の解明をめざします。また、これまで3つのセンターで培われてきた先端的なイメージング技術や、大規模データ統合・解析技術の高度化を進め最大限に活用することで、からだの中で起きている現象を可視化する技術開発に取りくみます。これらを通じ、ヒトの健康・正常状態の理解と、老化・寿命制御メカニズムを解明し、「生きている」仕組みをひも解くことで、健康寿命の延伸に貢献します。

センター長 西田 栄介