宮道和成
愛知県出身。東京大学大学院にて博士号取得後、スタンフォード大学に留学し、2018年より現職。マウスを用いて視床下部の神経回路の構造比較から機能に迫る研究を展開中。さらにマウス以外の哺乳類でも研究しようと基盤ツール作成に取り組んでいる。最近は子育て(娘2歳、息子1歳)とラボ運営の両立に奮闘中。
研究室の名前にもなっている比較コネクトミクスとは、脳などの神経回路の地図をつくり、生物それぞれの違いについて研究するというものです。シナプスやニューロンを軸に脳の全体像を可視化し、脳の働きを解明する手がかりとしています。人間を含め、様々な生き物の神経のマップを作成し、神経のつながり方などを比較し、社会的行動を処理している脳の全体像を可視化し、異常を見つけ出すことでうつ病や認知症などの神経疾患の原因や治療法を見つけることにもつながる研究です。今回は、チームリーダーの宮道さんにお話を伺いました。
愛知県出身。東京大学大学院にて博士号取得後、スタンフォード大学に留学し、2018年より現職。マウスを用いて視床下部の神経回路の構造比較から機能に迫る研究を展開中。さらにマウス以外の哺乳類でも研究しようと基盤ツール作成に取り組んでいる。最近は子育て(娘2歳、息子1歳)とラボ運営の両立に奮闘中。
高校生の時に読んだ利根川進さんや立花隆さんの本が非常に面白く、その影響で神経について研究しようと思いました。大学の研究は嗅覚の研究からスタートしました。
鼻の中には匂いの分子を区別するレセプターがあり、その組み合わせで匂いを感知しています。このレセプターには特異性があるのですが、どのレセプター分子がどの匂い分子を受け取るかは早い者勝ちではなくてレセプター分子の構造で予め決まっています。一方、それぞれのレセプター細胞がどのレセプター分子を発現するかについては早い者勝ちで、最初にたまたま発現したレセプター分子がほかのレセプター分子の発現を抑えます。こうして、それぞれのレセプター細胞には一種類のレセプター分子が発現することになります。つまり、レセプターができた時はどの匂い分子を受け取るかが決まっておらず、最初に受け取った匂いがそのレセプターが受け取ることの出来る匂い分子になるということです。
その後、様々な匂いの情報を集めていくうちに、神経でつながっている多くの細胞に研究内容が移っていきました。
脳を透明化し、写真を撮るわけですが、神経細胞の中にウイルスを組み込み、そのウイルスがどのように広がっていくかを調べて神経細胞のつながり方を調べます。このウイルスには蛍光タンパク質を作り出す遺伝子が組み込まれており、このタンパク質の蛍光を追跡することで神経の地図が作られます。神経細胞にもさまざまな種類があるので、自分たちが選んだ性質を持つ細胞にウイルスを組み込むことで、この神経細胞がどのように情報を伝達しているかを可視化できるので、このようなウイルスはツールとして欠かせません。
そもそも、記憶や感情のコントロールを研究するには、神経細胞の機能を単純化することによって行われています。しかし、脳の内部での情報交換や、ニューロンのつながりを全て分析することは不可能です。当然人工的にコネクトームを再現するのも脳の仕組みが複雑すぎて難しいものです。これらの解析しづらい脳に対して、私達はわずかな差を解析する比較コネクトミクスという研究を通して臨んでいます。
比較コネクトミクス研究チームが目指しているのは、社会行動を司る神経回路とその作動の仕組みの解析です。この研究は高等学校で習うシナプスやニューロンを軸に、脳の全体像を可視化し脳についての様々な謎を解明していきます。人間の脳が記憶や感情をどのように処理しているのかを解明することができ、さらには認知症やうつ病といった精神疾患病の治療法などを生み出すことができるかもしれません。
研究室は中小企業のようなもので、人のやりくりや予算の獲得、人間関係の調整など、研究以外のことにも気を配らないとうまくいきません。ただ、時間は自分でやりくりできるので、スポーツをはじめいろいろな趣味を持っている方が多いです。
誰もやったことがないことに取り組んでいるというのが一番の醍醐味ですね。ただ、自分が面白いと思って一所懸命やって学会で発表した時に、あまり反応がなかったときは、さすがに悲しいですね。しかし、まだ他の人はこの面白さに気が付いていないのだと考えて、先に進むことも大事です。
物事を「楽観的に」考えることです。これは、なんでも適当に考える、ということではなくて、なんでも「なんとかなる」と考えるということです。日々精進すれば、なんとかなります。
自分の意見をしっかり持つことは大切です。ほかの人の意見に惑わされず、自分のしたいことを目標として掲げ、これからの進路を決めていってください。
もう一つは「よく眠る」ことです。睡眠は生きていく上で大切です。よく眠ることで、よく考えることができます。
訪問前は、比較コネクトミクスという分野の研究のことはもちろん、その言葉さえも知りませんでした。そこで5人で集まって、理化学研究所の研究内容を調べたり、研究内容と関連しそうなWebページを見たりすることで、徐々にそれがどのような研究なのかわかってきました。そして、この研究内容が今私たちが一番興味を持っている脳の働きを解明することにつながっていることがわかり、訪問を心待ちにしていました。 当日は、明るく、ユーモアのある宮道さんからたくさんお話を聞くことができ、さらに自分の進路で迷っている若者にむけたメッセージにも心を動かされました。
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